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患者様の状態
症例をご紹介します。
27歳女性、中国からの留学生で話せる日本語は挨拶ぐらいでしたので、スマホの翻訳機能を使うことで、問診などの意思の疎通ができました。
MRIを持参されてのご来院。
しっかりと後方に(前方にも)椎間板が飛び出ています。
馬尾神経に思いっきり髄核が占領してます。
白いのが神経で、黒くなっているところが神経が圧迫されている箇所。
初回は一人で歩くことが出来ず、お友達に担がれてご来院いただきました。
買い物中に荷物を持ちながら前屈をし、そこから上半身を持ち上げようとしたところ、激痛が走り、動けなくなってしまったとのことでした。
そのまま病院に直行し、MRIと痛み止め、腰のサポーターをだされ、「一か月後また来てください」とのことで診察が終了。
初診時の状態は
腰~右足全体に痛み、シビレ。腓骨神経領域に感覚異常。
痛みのスケールは10(今までで経験した痛みの中で最上級)
SLR30度
ラセーグ +
フェジェルツタイン +
右長母指伸筋弱化
右の膝裏を押すと激痛
手術はしたくないという思いをお持ちなので、その思いを尊重して、当院で治療を開始します。
1周目
炎症がかなり強い状態です。
朝起きたときの痛みがとても強い状態でした。
超音波を患部に当て、
呼吸に合わせてL4棘突起をマニュピレーション、
呼気で棘突起を押し上げると痛みが増して、吸気で棘突起をあげると痛みが緩和しました。
痛みの強さは10→9.ほぼ変わらず。
SLRは30度から60~70まで改善しました。
2周目
患者さんは学生で、このようなひどい状態でも、授業が休めないので、可能な限り立って授業を受けるように指導しました。
長時間の座位は椎間板に圧力をかけてしまいます。
痛み、炎症ともに減少は見られませんでした。
3周目
3日連続で10:00~17:00まで授業だったらしく、身も心も披露している様子。
そんな中、しっかりと日本語の勉強をし、日本の大学に入学することが目標とのこと。えらい!!
マッケンジー体操を開始。
L4-5を固定してマッケンジー体操を行うと最初は痛みとだるさが表れるが、ゆっくりと数回繰り返すと、痛みの改善につながりました。
胸椎も固定して、胸椎の動きを改善するようにマッケンジー体操を行います。
SLR 右30から85 左45から90まで改善
長母指伸筋のMMTが改善してきていました。
4周目
このころになると朝の痛みのスケールは4
マッケンジー体操後のSLRは90度まで行くようになりました。
しかし朝になると痛みが戻ってしまう日々がづきます。
5周目
痛みシビレは日によって変動していましたが、マッケンジー体操後にはすべてのテストが陰性になる日がでてきました。
マッケンジー体操と坐骨神経のストレッチをひたすら続けます。
6周目
痛みスケール2~3の日が続きます。
腸腰筋の強化を開始しました。
腸腰筋のカウンターストレイン、ストレッチ、AKテクニックにより弱化を改善させます。
やや痛みが悪化傾向の時もありましたが、それを乗り越え、旅行に行ける程まで。気持ちにも余裕がでできたと感じられます。
7~8週目
朝の痛みも改善し、授業中の座位も痛みが出ずにいられる状態になりました。
施術はマッケンジー体操、坐骨神経の伸長をメインに
9周目
痛みはなくすべてのテストが陰性となり、
ほぼ回復となります。
MRIをまたとる機会がなかったので、飛び出た椎間板が戻ったかどうかは不明のままですが、
椎間板が飛び出ている状態でも、症状が消失する例はたくさんあるので、そこはそれほど重要ではありません。
椎間板ヘルニアの場合、前かがみの姿勢はとるべきではありません。
その中でもとりわけ、座った状態で床のものを拾うような動作は絶対にしてはダメです。
座った状態で前かがみをすることが、椎間板に一番圧力がかかります。
そのことを指導し忘れで、悪化につながった日もありました。
睡眠の大切さ!
椎間板は重力がかからない寝ているときに水分の再吸と栄養の循環が起こります。
ヘルニアの治療には睡眠がとても重要になります。
痛いながら当院にご来院いただきありがとうございました。
それと、治ると信じて通院していただきありがとうございました!!
謝謝!!